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札幌医科大学で過ごした47年間:特に細胞標的DDSの開発研究について
https://doi.org/10.15114/smj.91.1
https://doi.org/10.15114/smj.91.173ec3cfb-d382-402e-8dd4-45a4ee0ca2c6
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
0036472X9111.pdf (15.0 MB)
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Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||||
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公開日 | 2023-03-14 | |||||||
タイトル | ||||||||
言語 | ja | |||||||
タイトル | 札幌医科大学で過ごした47年間:特に細胞標的DDSの開発研究について | |||||||
タイトル | ||||||||
言語 | en | |||||||
タイトル | My 47 years spent at Sapporo Medical University: especially on the development of celltargeted therapy. | |||||||
言語 | ||||||||
言語 | jpn | |||||||
資源タイプ | ||||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||||
ID登録 | ||||||||
ID登録 | 10.15114/smj.91.1 | |||||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||||
著者 |
加藤, 淳二
× 加藤, 淳二
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抄録 | ||||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||||
内容記述 | 私が医師として札幌医科大学で過ごした41年間は、主に癌に関する臨床、教育、研究に費やしてきた。本最終講義では、特にライフワークの一つとして探求してきた二種類の細胞標的療法の開発について述べたい。細胞標的療法とは、ある特定の細胞に薬剤や遺伝子を特異的に送達(DDS)することで、より有効性を高める手法であり、全身投与の場合と比べて薬剤投与量を減らすことが可能となり副作用の軽減にもつながる。一つ目は、肝硬変(肝繊維化)に対する細胞標的療法である。肝硬変は、年間5-6万人が罹患する疾患であり、非代償性肝硬変患者では生存期間中央値が2年を下回る予後不良の疾患であり、また肝線維化は肝細胞癌の前癌病変とされる。肝線維化に対する治療法は未だ開発されていない。肝線維化は肝細胞傷害や組織の炎症等に伴って活性化された肝星細胞(Hepatic Stellate Cell: HSC)から分泌される様々なタイプのコラーゲン分子の間質への沈着によって起こる。このHSCの活性化を特異的に抑制する方法や多種類存在するコラーゲン分子の合成を効率よく抑制する有効な手段はなかった。HSCでのコラーゲン分子の産生にはHSP47(Heat Shock Protein 47)が密接に関与していることが明らかとなっている。そこでわれわれは、HSCに対する細胞標的療法を開発するため、HSP47に対するsiRNAを用意し、さらに、siRNAを包埋したVitamin A(VA)結合型リポゾームを作製した。さらにラット肝硬変モデルを使用し、siRNA包埋VA結合型リポゾームによる抗線維化効果を検証した。その結果、HSP47に対するsiRNAは、ラット線維芽細胞においてHSP47ならびにコラーゲンの産生を抑制できた。さらにVA-Lip-HSP47siRNAを経門脈的に投与したところ、HSC特異的な発現が得られラット肝硬変モデルにおいて肝線維化が抑制された。VA-Lip-HSP47siRNAは、HSC におけるHSP47合成を特異的に阻害しコラーゲン産生を抑制した。したがって、本剤は肝線維化の新たな分子標的治療剤となりうる可能性が考えられた。現在、某企業と共同開発をすすめた「ND-L02-s0201」はHSP47を阻害するsiRNAを用いた治療薬で、米国食品医薬品局(FDA)からNASH 及びC 型肝炎に伴う肝線維症に対して優先審査指定を受けており、臨床に導入される可能性が高いと考えている。二つ目は、大腸癌に対する細胞標的療法である。癌は1980年代から日本人の死因の第1位であり、現在でも死亡数は増加の一途を辿っている。その中でも大腸癌は男性2位、女性1位(2021年)であり、その克服は本邦および世界の課題と言っても過言ではない。早期発見例は、内視鏡治療や外科切除で治癒が望めるが、進行例は有効な化学療法が相次いで導入されてはいるものの、一部の遺伝子異常例を除けば、治癒は期待できず延命が目標の治療となる。また、がん治療による副作用の出現は避けられず、支持療法薬の進歩もあるもののQOLの低下がほとんどの症例で見られるのが現状である。そこで我々は、癌細胞特異的な標的療法を開発することで、がん特異的に抗がん剤を送達し、高い治療効果と有害事象の軽減を狙った。まず、標的となる大腸癌の特性を選択するにあたり、大腸癌がCA19-9をはじめとしたフコシル化物質を分泌することに着目した。臨床検体を用いた検討では、フコース蓄積症例では、大腸癌の悪性度が高いことが示唆され、大腸癌細胞株を用いた検討では、培養液中、細胞質中のフコシル化蛋白の分泌量が非がん細胞株より有意に多く、大腸癌細胞株ではフコース要求度が高いことが判明した。そこで、リポソームに抗がん剤であるSN38を内包化し、リポソーム表面にL-フコースを結合させた薬剤を新規に開発した。同薬剤による治療は、in vitro、in vivoいずれでも、L-フコース未修飾あるいは抗がん剤単独の治療よりも高い治療効果を示し、SN38を内包したフコース結合リポソームは、フコシル化蛋白産生大腸癌に対して有効な細胞標的治療となると考えられた。現在も、これらの研究を発展させ、細胞標的療法を他癌腫や他の標的へ応用し、幅広く進めている。われわれの研究が、不治の病と言われた「肝硬変」、「がん」の治療の大きな柱として、日常臨床に導入され、まだ見ぬ多数の患者の命を救うことを願い、次世代に託したいと考えている。 | |||||||
書誌情報 |
札幌医学雑誌=The Sapporo Medical Journal en : The Sapporo Medical Journal 巻 91, 号 1-6, p. 1-12, 発行日 2023-03-31 |
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ISSN | ||||||||
収録物識別子タイプ | ISSN | |||||||
収録物識別子 | 0036-472X | |||||||
著者版フラグ | ||||||||
出版タイプ | VoR | |||||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 | |||||||
出版者 | ||||||||
出版者 | 札幌医科大学 |