{"created":"2023-05-15T09:09:29.493863+00:00","id":17811,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"6d59a0f6-cdf5-4a2f-ade8-bb3b1399f1fe"},"_deposit":{"created_by":14,"id":"17811","owners":[14],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"17811"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:sapmed.repo.nii.ac.jp:00017811","sets":["1658:1659:2250"]},"author_link":[],"item_7_biblio_info_6":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2023-03-31","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographicIssueNumber":"1-6","bibliographicPageEnd":"12","bibliographicPageStart":"1","bibliographicVolumeNumber":"91","bibliographic_titles":[{"bibliographic_title":"札幌医学雑誌=The Sapporo Medical Journal"},{"bibliographic_title":"The Sapporo Medical 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におけるHSP47合成を特異的に阻害しコラーゲン産生を抑制した。したがって、本剤は肝線維化の新たな分子標的治療剤となりうる可能性が考えられた。現在、某企業と共同開発をすすめた「ND-L02-s0201」はHSP47を阻害するsiRNAを用いた治療薬で、米国食品医薬品局(FDA)からNASH 及びC 型肝炎に伴う肝線維症に対して優先審査指定を受けており、臨床に導入される可能性が高いと考えている。二つ目は、大腸癌に対する細胞標的療法である。癌は1980年代から日本人の死因の第1位であり、現在でも死亡数は増加の一途を辿っている。その中でも大腸癌は男性2位、女性1位(2021年)であり、その克服は本邦および世界の課題と言っても過言ではない。早期発見例は、内視鏡治療や外科切除で治癒が望めるが、進行例は有効な化学療法が相次いで導入されてはいるものの、一部の遺伝子異常例を除けば、治癒は期待できず延命が目標の治療となる。また、がん治療による副作用の出現は避けられず、支持療法薬の進歩もあるもののQOLの低下がほとんどの症例で見られるのが現状である。そこで我々は、癌細胞特異的な標的療法を開発することで、がん特異的に抗がん剤を送達し、高い治療効果と有害事象の軽減を狙った。まず、標的となる大腸癌の特性を選択するにあたり、大腸癌がCA19-9をはじめとしたフコシル化物質を分泌することに着目した。臨床検体を用いた検討では、フコース蓄積症例では、大腸癌の悪性度が高いことが示唆され、大腸癌細胞株を用いた検討では、培養液中、細胞質中のフコシル化蛋白の分泌量が非がん細胞株より有意に多く、大腸癌細胞株ではフコース要求度が高いことが判明した。そこで、リポソームに抗がん剤であるSN38を内包化し、リポソーム表面にL-フコースを結合させた薬剤を新規に開発した。同薬剤による治療は、in vitro、in vivoいずれでも、L-フコース未修飾あるいは抗がん剤単独の治療よりも高い治療効果を示し、SN38を内包したフコース結合リポソームは、フコシル化蛋白産生大腸癌に対して有効な細胞標的治療となると考えられた。現在も、これらの研究を発展させ、細胞標的療法を他癌腫や他の標的へ応用し、幅広く進めている。われわれの研究が、不治の病と言われた「肝硬変」、「がん」の治療の大きな柱として、日常臨床に導入され、まだ見ぬ多数の患者の命を救うことを願い、次世代に託したいと考えている。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_identifier_registration":{"attribute_name":"ID登録","attribute_value_mlt":[{"subitem_identifier_reg_text":"10.15114/smj.91.1","subitem_identifier_reg_type":"JaLC"}]},"item_7_publisher_32":{"attribute_name":"出版者","attribute_value_mlt":[{"subitem_publisher":"札幌医科大学"}]},"item_7_source_id_7":{"attribute_name":"ISSN","attribute_value_mlt":[{"subitem_source_identifier":"0036-472X","subitem_source_identifier_type":"ISSN"}]},"item_7_version_type_15":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"加藤, 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