@article{oai:sapmed.repo.nii.ac.jp:00017812, author = {石合, 純夫}, issue = {1-6}, journal = {札幌医学雑誌=The Sapporo Medical Journal, The Sapporo Medical Journal}, month = {Mar}, note = {2005年1月の札幌医科大学リハビリテーション医学(講座)着任以来18年と3か月、前半は闘いの日々でもありましたが、充実した期間を過ごさせていただきました。至らぬところが多々あったかと思いますが、少なくとも国公立大学医学部の中では、講座・科/部を一人前の姿に育て上げることができたと自負しています。多くの教室・診療科の皆様の多大なるご支援に御礼を申し上げます。 1.北海道と私:小学生の頃から鉄道マニアであった私は、高校に入ると当時の国鉄「北海道ワイド周遊券」を片手に、道内各地の蒸気機関車SLを追いかけました。医学部に入ってからも、軟式テニス部のシーズンオフを中心として、北海道に長期滞在して、当時の道内国鉄全線に乗車しました。医師になってからも、毎年のように北海道を訪れていました。 2.リハビリテーション医学教室の講座化と充実への18年:2005年1月の着任当時、専任の教員は私と村上助教(現講師)のみであり、セラピストも理学療法士5名、作業療法士3名、柔道整復師3名の11名という小世帯でした。そのため、優先度の高い患者さんに最低限のリハビリテーションしか行えませんでした。その後、土岐助教と青木助教が大学に戻ってきて、小規模ながら教室の体をなしました。しかし、セラピストの増員は遅々として進まず、2008年にようやく、待望の言語聴覚士1名、2012年には理学療法士1名、言語聴覚士1名が加わりました。学科目から講座に昇格したのは、2011年10月です。以降は、リハビリテーションの認知度と需要が高まり、現在は、教員5名、常勤セラピスト26名、さらに、大学院生の診療参加と研修生の15名強を加えて、国公立大学としては、まずまずの体制となっています。また、2018年7月の西病棟完成に伴い、設備的にも充実しました。 3.高次脳機能障害研究とその社会還元:医学部卒後2年目の11月、私は、当時の埼玉県障害者リハビリテーションセンターに勤務することになりました。そこで、本格的に脳卒中患者さんをはじめとするリハビリテーションに出会いました。また、当時としてはまだ珍しかった「アイカメラ」を使用する機会も得て、右半球損傷後の重大な高次脳機能障害である半側空間無視に関する研究を始めました。卒後5年目に大学に戻った後、1988年11月に、前任地である東京都神経科学総合研究所リハビリテーション研究室に転出しました。それからは、都立病院等で臨床も行いつつ、リハビリテーションと高次脳機能障害の研究に邁進しました。1989年には、歴史ある神経学の国際誌Brainに論文が掲載され、学位論文となりました。私の半側空間無視研究の概要は、本文に記載します。以降、認知症や外傷性脳損傷に診療と研究の幅を広げる一方で、高次脳機能障害に対する理解の普及に努めました。2004年には、幅広い医療スタッフを対象とした教科書として「高次脳機能障害学」を出版しました。本書は医学書としてはベストセラーとなり、2012年に第2版、2022年に第3版と改訂を進め、多くのリハスタッフ養成校での教科書採用もあり、通算で約8万部を売り上げています。また、検査法普及にも力を入れ、半側空間無視の国際的検査法導入として、1999年にBIT行動性無視検査日本版を出版し、全国の医療機関で用いられています。日本高次脳機能障害学会では、Brain Function Test(BFT)委員会に所属し(現在は委員長)、「標準言語性対連合学習検査S-PA」や注意検査法の開発・出版に力を入れました。脳神経外科学講座に三國教授が赴任されてからは、覚醒下手術への協力にも力を入れ、2017年の第15回日本Awake Surgery学会学術集会会長を務めました。 4.高次脳機能障害者とその家族への支援:外傷性脳損傷は就労・就学年齢の者にも起こり、高齢者の健忘とは異なる記憶障害、また、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など、脳卒中とは異なる高次脳機能障害が起こります。高次脳機能障害者の社会復帰・参加を支援する研究を行うほか、北海道の脳外傷友の会コロポックル・NPO法人コロポックルさっぽろとの連携では、多くの患者さんと交流できました。また、道内外の高次脳機能障害支援拠点機関で多くの講演をさせていただきました。 5.学生・若手医師へのメッセージ-略歴には書けない受賞歴を含めて-:先日、医学部の学生が医学部同窓会誌AMICSの退任教授インタビューに訪れました。そこで、最後に強調したのは、「勉強や仕事以外の例えば趣味やスポーツへの興味と熱意を忘れないこと!」でした。私は、今後も札幌で医療に携わりますが、少年時代の夢を果たすべく、鉄道風景写真にも力を入れていきます。最後に、略歴には書けない受賞歴と、北海道にゆかりの深い第18回丘のまちびえいフォトコンテスト・グランプリ受賞作をご覧いただきます。}, pages = {13--25}, title = {北海道内国鉄路線「完乗」から札幌医科大学での18年間}, volume = {91}, year = {2023} }