症例は48歳、男性。平成16年に十二指腸潰瘍穿孔に対して当院で幽門側胃切除術(Billroth II 法再建)を施行した。平成24年6月に心窩部痛を主訴に当科を受診し胃空腸吻合部に潰瘍を認め、proton pump inhibitorの内服を開始したが平成25年1月より通院を自己中断した。平成26年8月から下腿浮腫を自覚し同年10月に当院を受診した。全身浮腫を認め、同日当院循環器内科に入院となったが、入院時の腹部単純CT にて脂肪肝および腹水貯留、血液検査で肝胆道系酵素上昇、重度の低栄養を伴っており翌日当科転科となり精査を行った。肝生検では著明な脂肪肝を認めるのみであったが、上部消化管内視鏡検査および腹部造影CT で吻合部空腸と横行結腸の瘻孔形成を認めた。吻合部潰瘍の増悪に伴う胃空腸横行結腸瘻と診断し、当院外科にて胃空腸吻合部切除(Roux-en Y 法再建)を施行され、術後標本で47mm の瘻孔を認めた。術後栄養状態は改善し、脂肪肝および吻合部潰瘍の再発なく経過している。
雑誌名
市立室蘭総合病院医誌 = Journal of Muroran City General Hospital